○吉川松伏消防組合火災調査規程
平成23年1月21日
消本訓令第1号
吉川松伏消防組合火災調査規程(平成18年吉川松伏消防組合消防本部訓令第4号)の全部を改正する。
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 調査業務
第1節 調査の原則(第4条―第10条)
第2節 調査の体制(第11条―第15条)
第3章 調査業務の執行
第1節 調査の通則(第16条―第19条)
第2節 火災出動時の調査(第20条・第21条)
第3節 火災原因の調査(第22条―第28条)
第4節 火災損害の調査(第29条―第35条)
第5節 立証のための調査(第36条―第43条)
第4章 調査結果の記録等
第1節 調査書類(第44条―第46条)
第2節 火災等の報告(第47条―第49条)
第3節 照会の対応(第50条―第52条)
第5章 震災に伴う火災調査(第53条―第60条)
第6章 雑則(第61条―第63条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災調査(以下「調査」という。)の執行に関し必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 調査は、火災の原因及び損害を明らかにして、火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
(1) 火災 人の意図に反して発生し若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し若しくは拡大した爆発現象をいう。
(2) 爆発現象 化学的変化による燃焼の一つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱を発生し、爆鳴、火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。
(3) 調査 火災現場から消防行政施策を主とする資料を収集し、活用するための質問、現場見分、鑑識、鑑定、実験、照会等の一連の行動をいう。
(4) 鑑識 火災の原因及び損害の判定のため、専門的な知識、技術、経験及び機器を活用し、総合的な見地から具体的な事実関係を明らかにすることをいう。
(5) 鑑定 火災にかかわる物件の形状、構造、材質、成分、性質及びこれらに関連する現象について、科学的手法により、必要な試験及び実験を行い、その結果を基に火災原因判定のための資料を得ることをいう。
(6) 関係者 法第2条第4項に規定するもの。
(7) 関係者等 関係者並びに火災の発見者、通報者、初期消火者及びその他調査の参考となる情報を提供し得る者をいう。
(8) 建物 土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物に設けた事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいう。
(9) 建物の収容物 柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物、その他バルコニー、ベランダ等に置かれた物をいう。
(10) 車両 原動機を用いて陸上を移動することを目的として製造された用具であって自動車、汽車、電車及び原動機付自転車をいう。
(11) 被けん引車 車両によってけん引される目的で造られた車及び車両によってけん引されているリヤカーその他の軽車両をいう。
(12) 船舶 独行機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに独行機能を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう(登録、エンジン搭載の有無を問わない。)。
(13) 航空機 人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船等の機器をいう。
(14) 用途 建物、車両、船舶、航空機等が占有され、又は使用されている目的をいう。
(15) 業態 原則として、事業所において業として行われている事業の態様をいい、教育、宗教、公務、非営利団体等の諸活動を含むものとする。
(16) 製造物 製造物責任法(平成6年法律第85号。以下「責任法」という。)第2条第1項に定める製造又は加工された動産をいう。
(17) 欠陥 責任法第2条第2項に定める欠陥をいう。
(18) 製造業者等 製品の製造、加工又は輸入した者をいう。
(19) 資料等 火災の原因である疑いがあると認められる製品の同型品、設計図等の図面、燃料を要する製品の燃料その他消防長又は消防署長が調査のために必要と認めるものをいう。
(20) 物件等 焼損した物件、発火源となったと思われる設備器具、使用した燃料その他出火原因の判定に必要なものをいう。
第2章 調査業務
第1節 調査の原則
(火災の件数)
第4条 火災の件数は、ひとつの出火点から拡大したもので、出火から鎮火に至るまでを1件とする。
(火災の種別)
第5条 火災の種別は次の各号に区分するものとする。
(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災
(2) 林野火災 森林、原野又は牧野が焼損した火災
(3) 車両火災 自動車車両、鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災
(4) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災
(5) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災
(6) その他の火災 前各号に掲げる火災以外の火災
2 前各号の火災が複合するときは、焼き損害額の大なる種別による。ただし、その態様により焼き損害額が大なるものの種別によることが社会通念上適当でないと認めるときはこの限りではない。
3 前項の焼き損害額が同額又は算出されない場合については、火元の火災の種別によるものとする。
4 前3項の規定は、爆発損害のみの火災の種別について準用する。
(焼損程度の区分)
第6条 建物の焼損程度は、1棟ごとに全焼、半焼、部分焼及びぼやに区分し、その内容は次に掲げるとおりとする。
(1) 全焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の70パーセント以上のもの又はこれ未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないものをいう。
(2) 半焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント以上のもので全焼に該当しないものをいう。
(3) 部分焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント未満のものでぼやに該当しないものをいう。
(4) ぼや 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満のもので焼損床面積若しくは焼損表面積が1平方メートル未満のもの又は収容物のみを焼損したものをいう。
2 前項の規定は、車両、船舶及び航空機の焼損程度について準用する。
(世帯のり災程度)
第7条 世帯のり災程度は、1棟ごとに全損、半損又は小損に区分しその内容は、次に掲げるとおりとする。
(1) 全損 建物(その収容物を含む。以下この条において同じ。)の火災損害額(以下「損害額」という。)がり災前の建物の評価額の70パーセント以上のものをいう。
(2) 半損 建物の損害額がり災前の建物の評価額の20パーセント以上で全損に該当しないものをいう。
(3) 小損 建物の損害額がり災前の建物の評価額の20パーセント未満のものをいう。
(火災による死傷者)
第8条 火災による死傷者は、火災現場において火災に直接起因して死亡した者又は負傷した者とする。
2 火災による負傷者が受傷後48時間以内に死亡したときは、火災による死者とする。
3 火災による負傷者のうち、48時間を経過して30日以内に死亡したときは、30日死者とする。
4 火災による負傷の種別は、次に掲げるとおりとする。
(1) 重症 傷病の程度が3週間の入院加療を必要とするもの以上のものをいう。
(2) 中等症 傷病の程度が重症又は軽症以外のものをいう。
(3) 軽症 傷病の程度が入院加療を必要としないものをいう。
(出火原因等の分類)
第9条 出火原因分類、用途別分類及び業態別分類は、火災報告取扱要領に規定されている分類表によるものとする。
(調査の区分及び範囲)
第10条 調査は、火災原因調査及び火災損害調査に区分する。
(1) 火災原因調査の範囲は、次のとおりとする。
ア 出火原因 火災の発生経過及び出火箇所
イ 発見、通報及び初期消火状況 発見の動機、通報及び初期消火の一連の行動経過
ウ 延焼状況 建物火災の延焼経路、延焼拡大要因等
エ 避難状況 避難経路、避難上の支障要因等
オ 消防用設備等の状況 消火設備、警報設備及び避難設備の使用又は作動等の状況
カ 住宅防火対策の状況 住宅用防災機器の使用又は作動等の状況
(2) 火災損害調査の範囲は、次のとおりとする。
ア 人的被害の状況 火災による死傷者、り災世帯、り災人員等の人的な被害の状況及びその発生状況
イ 焼き損害の状況 火災によって焼けた物件及び熱によって破損並びに煙による汚損の状況
ウ 消火損害の状況 消火活動によって受けた水害、破損及び汚損の状況
エ 爆発損害の状況 爆発現象の破壊作用によって受けた破損及び汚損の状況
オ 損害額の評価等 火災により受けた物的な損害の評価及び火災保険等の加入状況
第2節 調査の体制
(調査の実施)
第11条 消防長は、管内の火災を覚知したときは、直ちに調査に着手しなければならない。
2 前項の調査は、予防課長(以下「課長」という。)又は消防署長(以下「署長」という。)をもってこれを実施させるものとする。
3 課長及び署長は、調査に必要な人員及び調査用資器材を整備し、調査体制を確立しておかなければならない。
(調査の実施区分)
第12条 次に掲げる火災の調査は、課長が処理するものとする。
(1) 建物火災(焼損床面積の合計が100平方メートル以上と推定されるもの。)
(2) 車両火災(常磐自動車道の車両、鉄道車両、法上の危険物積載車両及び乗合自動車で発生したもの。)
(3) 船舶火災
(4) 航空機火災
(5) 死者が生じた火災
(6) 指定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱う施設における火災
(7) 製造物の欠陥(推定を含む)による火災又は製造業者等との連絡調整が必要な火災
2 前項に掲げる火災以外の調査は、署長が処理するものとする。
3 前各項の規定によらず、調査を実施することが適切であると課長又は署長が判断する場合は、実施区分以外の火災について各々に所属する調査員に調査をさせる事ができる。
(調査員の指定)
第13条 調査員は、吉川松伏消防組合の立入検査証に関する規則(平成22年吉川松伏消防組合規則第8号。以下「規則」という。)に規定する立入検査証の貸与を受けている消防職員のうち消防本部予防課(以下「予防課」という。)又は消防署に所属する職員をもって充てる。
(調査員の派遣協力)
第14条 課長及び署長は、調査上特に必要があると認めるときは、相互に協力を求め、調査員の派遣を要請することができる。
(調査員の原則)
第15条 調査員は、調査業務を適正に推進するため、常に関係法令その他調査に必要な知識の修得、調査技術の研究及び調査能力の向上に努めなければならない。
2 調査員は、調査の実施に際し、関係のある場所に立ち入る場合においては、規則の規定に基づく立入検査証を携帯し、関係者等から請求があるときはこれを提示しなければならない。
3 第12条第1項の規定による調査を実施するときは、別紙1に規定する火災調査官腕章を着用しなければならない。
4 調査員は、常に事実の確認を主眼とし、科学的な方法及び合理的な判断により事実の究明に努めなければならない。
5 調査員は、相互に連絡協調を図り調査の円滑を期すとともに、原因の究明にあっては、綿密かつ詳細に行わなければならない。
6 調査員は、関係法令を遵守し、個人の自由及び権利を不当に侵害し、又は調査上知り得た秘密を漏らしてはならない。
7 調査員は、調査事務の執行に際し、関係者等の民事的紛争に関与してはならない。
8 調査員は、関係機関と緊密な連絡を保ち、相互に協力して調査に当たらなければならない。
第3章 調査業務の執行
第1節 調査の通則
(関係者の承諾及び立会人)
第16条 調査に際し、原則として関係者の承諾を得て、関係者を現場の立会人として、立ち会わせたうえで実施しなければならない。ただし、特別な事情により関係者がやむを得ず立ち会えない場合は、警察官又は関係者の近親者その他適当であると判断される者を立会人とすることができる。
2 立会人は、見分場所又は物件に直接関係する者を優先しなければならない。
3 火災現場において調査上必要があると認めるときは、関係者の了承を得ることを原則として、当該火災に関係する製造業者等を立会人として立ち会わすことができる。
4 前項の規定により製造業者等に現場の立ち会いを求めた場合は、安全管理、健康管理及び言動等に充分に配意し実施しなければならない。
(質問)
第17条 調査員は、原因の究明又は損害の把握のため必要があると認める場合は、場所及び時機を考慮し、関係者等に質問を行い、その事実の確認に努めなければならない。
2 調査員は、前項の規定により、関係者等から申述を得る場合においては任意の申述を原則とし、関係者等が直接経験した事実の申述を得るよう努め、その申述を誘導してはならない。
3 調査員は、第1項の規定により得た関係者等の申述が、伝聞による申述であり、調査上必要と認める場合においては、その事実を直接経験した者から申述を得るよう努めなければならない。
5 前項の規定による署名は、通訳人の介助を得て質問を行った場合、当該通訳人を含むものとする。
(少年等に対する質問等)
第18条 調査員は、少年(18歳未満の者をいう。以下同じ。)並びに身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に規定する身体障害者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条に規定する精神障害者(以下「少年等」という。)の関係する火災で、前条に規定する質問を行う場合は、立会人を置いて行わなければならない。ただし、立会人を置くことで、真実の申述を得られないと判断されるときは、この限りでない。
2 前項の質問を行うに当たっては、少年等の心情を考慮して、充分な配意をもって行わなければならない。
3 少年等は、現場見分に立ち会わせてはならない。ただし、調査のため特に必要があると認める場合であって、年齢、心情その他諸般の事情を考慮して支障がないと認めるときは、この限りでない。
(被疑者に対する質問等)
第19条 警察官に逮捕された放火又は失火の被疑者に対し質問をするときは、警察署長の承諾を得て行い、捜査に支障を及ぼさないように留意しなければならない。
第2節 火災出動時の調査
(火災出動時の見分)
第20条 火災に出動した消防職員は、消防活動を通じて火災の状況見分に努めなければならない。
2 調査員は、出動途上及び火災現場(以下「現場」という。)において、関係者等への質問により現場の発見、通報、初期消火、火気取扱い及び管理、避難並びに死傷者の状況、消防対象物のり災状況、消防用設備等の使用及び作動状況を把握し、事後の調査に活用するよう努めなければならない。
3 前項の関係者等への質問は、重複を避け効率的に行うものとする。
4 火災に出動した消防職員は、調査員から把握した事項について必要と認めた場合は、火災出動時における見分調査書(様式第2号)を作成するものとする。
5 火災出動時における見分調査書には、その内容を明らかにするため、必要に応じて、図面及び写真を添付することができる。
(現場の保存)
第21条 火災に出動した消防職員は、出火場所付近の迅速な消火を心がけるとともに、出火前の状態が推測できるよう現場の保存に努めなければならない。
2 火災防ぎょ活動のため、やむを得ず出火場所付近の物件を移動又は破壊しようとするときは、原状がわかるよう必要な処置をとらなければならない。
3 課長又は署長は、消防活動終了後、調査を実施する際に必要に応じて、次の各号により火災鎮火後の現場を保存しなければならない。ただし、警察機関等によって現場保存がなされているときはこの限りでない。
(1) 現場保存区域は、警察機関等と協議して決定する。
(2) 現場保存区域は、必要最小限度の範囲にとどめる。
(3) 現場保存区域は、立入禁止テープ、その他の方法で表示する。
(4) 現場保存区域は、必要と認める者のほかみだりに出入りさせてはならない。
(5) 現場保存区域は、調査の進行に伴い順次縮小解除するものとする。
第3節 火災原因の調査
(火災原因調査)
第22条 課長又は署長は、調査員に第10条第1項第1号に規定する火災原因調査を実施させるものとする。
(実況見分)
第23条 調査員は、原因決定資料の発見入手及び被害状況の把握に努め、すべての火災に対しその実況を綿密詳細に見分しなければならない。
3 前項に定める実況見分調査書には、その内容を明らかにするため、必要に応じて、図面及び写真を添付することができる。
(現場の発掘)
第24条 出火原因の調査は、実況見分状況及び火災出動時の見分状況並びに関係者等の申述を総合的に判断して、出火範囲を限定し、現場の発掘(以下「発掘」という。)を行うものとする。
2 発掘は、出火範囲として限定した区域を、周囲から出火箇所付近へと順次行うものとする。
3 前2項による発掘は、立会人の申述に基づき物品等の配置に留意し、原状を復元する観点により行うものとする。
(火災原因の検討)
第25条 前条に規定する発掘の結果、出火箇所が判定された段階において、発掘された物件等の鑑識結果及び出火箇所付近の焼損状況並びに延焼経路を参考として火災原因の検討を行うものとする。
(火災原因の決定)
第26条 火災原因は、実況見分調査書、火災出動時における見分調査書、質問調査書、現場質問調査書及び実験データその他関係資料を総合的に検討し、科学的かつ合理的に考察して決定しなければならない。
(現場調査終了後の措置)
第28条 調査員は、現場における全ての調査を終了したときは、原則として、関係者に対し終了した旨を伝えるものとする。
第4節 火災損害の調査
(火災損害調査)
第29条 課長又は署長は、調査員に第10条第1項第2号に規定する火災損害調査を実施させるものとする。
(り災物件の調査)
第30条 調査員は、火災により焼損、破損、水損及び汚損等(以下「り災物件」という。)を調査し、正確な損害の把握に努めなければならない。
(死傷者の調査)
第31条 調査員は、火災に起因して死傷者が発生したときは、その状況を調査しなければならない。
(り災の届出)
第32条 火災損害調査のため必要と認める場合、り災物件の関係者に次に掲げるり災申告書(以下「り災申告書」という。)の提出を求めることができる。
(1) 建物り災申告書(様式第6号)
(2) 動産り災申告書(様式第7号)
(3) 車両・船舶・航空機り災申告書(様式第8号)
(4) 林野・その他の物件り災申告書(様式第9号)
2 関係者からのり災申告書の内容が著しく異なる場合については、質問等により矛盾を明らかにするとともに、必要により訂正を求めるものとする。
(り災の証明)
第35条 消防長は、火災の関係者に対し、り災の証明を行うことができる。
3 第1項のり災の証明は、火災損害調査の結果及びり災申告書の内容に基づき行うものとする。
第5節 立証のための調査
(任意の提出)
第36条 課長又は署長は、調査のため必要と認めるときは、関係者又は製造業者等に対し資料等又は物件等の任意提出を求めることができる。
2 提出者が資料等又は物件等の所有権を放棄したときは、調査終了後適宜処分するものとする。
(立証のための調査の実施)
第40条 調査員は、調査現場において焼損物件等の詳細な見分が困難なとき、又は実験等を必要とするときは、見分場所、日時等を明確にし、火災原因等の究明に関する詳細な見分及び実験を必要とする調査を関係者の承諾を得て鑑識、鑑定及び試験(以下「鑑識等」という。)を行うものとする。
(鑑定の依頼)
第41条 消防長は、調査のため特に必要がある場合は、学識経験者又は関係官公署等に対し、資料等又は物件等の鑑定を依頼することができるものとする。
(防火対象物等の状況)
第42条 調査員は、防火対象物又は危険物施設で火災が発生した場合は、消防関係法令の遵守状況等について調査を実施し、防火対象物等調査書(様式第26号)を作成しなければならない。
(官公署への照会)
第43条 消防長は、調査のため必要があると認めるときは、官公署に対し調査に関する事項を火災調査関係事項照会書(様式第27号)により行うものとする。
第4章 調査結果の記録等
第1節 調査書類
(調査書類の処理区分)
第44条 調査書類は、本章の規程及び次の各号に掲げる処理区分に応じて、作成するものとする。
(2) 2号処理 建物火災(焼損床面積の合計が10平方メートル以下の火災)、車両火災及びその他の火災をいう。
(3) 3号処理 出火原因が明らかなその他の火災のうち、火災により死傷者が生じず、損害額が全く計上されない、かつ、製造物について鑑識等を行う必要がないと認める火災をいう。
(調査書類の作成者)
第45条 調査書類は、調査を実施した調査員が作成するものとする。
2 調査を指揮した吉川松伏消防組合警防規程(平成25年吉川松伏消防組合消防本部訓令第3号。以下「警防規程」という。)第6条第5項に規定する中隊長又は予防課課長補佐(以下「中隊長等」という。)の職にある者は、火災調査書(様式第28号)を作成するものとする。ただし、調査現場に中隊長等が不在の場合は、調査を指揮した者が作成するものとする。
3 火災原因判定書及び火災原因調査書は、調査員のうち主任以上の職にある者が作成するものとする。
4 前2項に規定する火災調査書類以外は、中隊長等が作成者を指名するものとする。
(1) 火災調査書
(2) 書類目録
(3) 火災原因判定書
(4) 火災原因調査書
(5) 火災出動時における見分調査書
(6) 実況見分調査書
(7) 質問調査書
(8) 現場質問調査書
(9) 立証のための調査資料
ア 鑑識・試験結果書
イ 鑑定書類
ウ 火災調査関係事項照会書に対する回答文書等
(10) 損害調査に関わる書類
ア 火災損害状況調査書
イ 火災損害調査書
ウ 建物損害明細書
エ 動産損害明細書
オ 車両・船舶・航空機損害明細書
カ 林野・その他の損害明細書
キ 死傷者調査書
ク り災申告書
(11) 防火対象物等調査書
(12) その他の関係資料
第2節 火災等の報告
(火災の報告)
第47条 消防長は、消防組織法(昭和22年法律第226号)第40条の規定に基づく報告を行わなければならない。
(電気用品及び燃焼機器に係る火災等事故の報告)
第48条 消防長は、平成18年消防予第398号、消防技第61号通知に基づく報告を行わなければならない。
(自動車の火災等事故に係る報告)
第49条 消防長は、平成19年消防予第335号、消防技第69号、消防特第132号通知に基づく報告を行わなければならない。
第3節 照会の対応
(対応の原則)
第50条 照会に対する回答は、個人の名誉及びプライバシーを尊重するとともに、消防行政に及ぼす影響に細心の注意を払い、関係各課と十分協議のうえ行うものとする。
(火災に関する照会の対応)
第51条 消防長は、裁判所、捜査機関及び弁護士会等から調査結果の照会があったときは、調査書類の抄本を送付し、又はその内容について回答をすることができる。
(裁判所等からの召喚対応)
第52条 調査員は、裁判所から証人等として呼出し若しくは召喚を受けたとき、又は捜査機関から参考人として出頭を要請されたときは、消防長に事案概要を報告しなければならない。
2 前項の規定により召喚等の対応をした調査員は、対応終了後、速やかに消防長に対応の内容について報告しなければならない。
第5章 震災に伴う火災調査
(震災に伴う火災調査の執行体制)
第53条 消防長は、大規模地震の発生に伴い、警防規程第3条に定める警防本部が設置されている間に発生した火災(以下「震災に伴う火災」という。)の調査に対し、組織的な執行体制の確立に努めるものとする。
(震災に伴う火災の情報収集)
第54条 課長及び署長は、震災に伴う火災については、地震発生直後から災害状況の記録及び調査のための情報収集に努めなければならない。
(震災に伴う火災の指定)
第55条 消防長は、震災に伴う火災の調査を円滑に実施するため、当該火災が発生した期間及び地域を限定し、震災指定火災として指定することができる。
(震災指定火災の調査活動)
第56条 課長及び署長は、震災指定火災の調査については、り災の証明を行うための火災損害調査を優先するとともに、出火原因及び延焼経路等の記録に努めるものとする。
2 震災指定火災の調査の要領については、別に定めるものとする。
(震災指定火災における調査員の確保)
第57条 課長及び署長は、震災後の行政対応を考慮し、可能な限り震災指定火災の調査員を確保するとともに、時機を失することなく現場の見分、写真撮影等の記録を行わせるように努めなければならない。
(必要な資機材の確保)
第58条 課長及び署長は、震災時の火災調査活動に必要な資器材の確保に配意するものとする。
(震災指定火災における調査書類作成)
第59条 課長及び署長は、震災指定火災の調査書類については、第44条に定める調査書類の記載内容を変更し、又は書類の一部を省略し、作成することができるものとする。
(震災指定火災のり災証明書)
第60条 課長は、構成市町と震災に伴う被害状況等の情報を連携し、震災指定火災の調査結果に基づき、迅速なり災証明事務の対応に努めるものとする。
第6章 雑則
(調査書類の整理保存)
第61条 この規程に基づき作成した調査書類の原本は、吉川松伏消防組合文書管理規程(平成13年吉川松伏消防組合訓令第1号)の規定に基づき整理し、予防課において保存するものとする。
(調査書類の継続用紙)
第62条 調査書類の継続用紙は当該各号に定めるものとする。
(補則)
第63条 この規程の実施に関して必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この訓令は、平成23年3月1日から施行する。
(経過措置)
2 この訓令の施行の際、現に改正前の吉川松伏消防組合火災調査規程及び吉川松伏消防組合火災調査規程事務処理要領によりなされた処分、手続きその他の行為は、それぞれにこの訓令による吉川松伏消防組合火災調査規程の相当の規定によりなされたものとみなす。
附則(平成24年消本訓令第1号)
この訓令は、平成24年4月1日から施行する。
附則(平成26年消本訓令第6号)
この訓令は、平成26年4月1日から施行する。
附則(平成27年消本訓令第11号)
この訓令は、平成27年10月1日から施行する。
附則(平成29年消本訓令第3号)
この訓令は、平成29年4月1日から施行する。
附則(令和2年消本訓令第1号)
この訓令は、令和3年1月1日から施行する。
附則(令和3年消本訓令第1号)
この訓令は、令和3年3月1日から施行する。
附則(令和3年消本訓令第3号)
この訓令は、令和3年4月1日より施行する。
附則(令和6年消本訓令第2号)
この訓令は、令和6年5月1日から施行する。