○吉川松伏消防組合火災調査規程事務処理要領
平成23年1月20日
消防長決裁
吉川松伏消防組合火災調査規程事務処理要領(平成18年消防長決裁)の全部を改正する。
第1 趣旨
この要領は、吉川松伏消防組合火災調査規程(平成23年吉川松伏消防組合消防本部訓令第1号。以下「規程」という。)の執行及び事務処理について必要な事項を定めるものとする。
第2 火災番号(規程第44条関係)
調査書類は火災番号を付すこととし、付す番号は、消防組合の管轄及び火災の種別を問わず例に示す年間の通し番号とする。
例1
2011年消防組合の管轄内で3件目の火災の場合
火災番号 11―03
例2
2012年消防組合の管轄内で10件目の火災の場合
火災番号 12―10
建物の焼損面積は、焼損床面積及び焼損表面積に区分して算定し、端数がある場合は、小数点第3位以下を切り捨て、小数点第2位までを記入するものとする。
(1) 焼損床面積 建物の焼損が立体的に及んだ場合は、焼損したことによって機能が失われた部分の床面積(その空間の床または天井とその空間を構成している表面との2面以上の焼損があった表面で囲まれる部分の床面積)をいう。
(2) 焼損表面積 建物の焼損が内壁、天井、床板等部分的な一部の面のみのもので立体的な焼損に及ばなかった場合の面積をいう。
2 前項の規定は、水損、破損及び汚損について準用する。
損害額の算定は、火災によって受けた直接的な損害について行い、消火のために要した経費、焼跡整理費、り災のための休業損失等の間接的な損害を除くものとする。また、損害額は1,000円単位とし、1,000円未満の端数金額がある場合は、100の位を四捨五入するものとし、その算定の結果が0円となった場合の損害額は「計上に足らず」とする。
火災調査書類の作成期限(火災の覚知の日から起算し、火災調査報告書の起案日までをいう。)については、次のとおりとする。
(1) 規程第12条第1項に該当する火災 60日
(2) 規程第12条第2項に該当する火災
ア 建物火災で焼損床面積の合計が50平方メートル以上のもの 90日
イ 建物火災で焼損床面積の合計が10平方メートル以上50平方メートル未満のもの 60日
ウ 建物火災で焼損床面積の合計が10平方メートル未満のもの 30日
エ 車両火災 60日
オ その他の火災 30日
2 火災調査書類は作成後、速やかに消防長へ報告するものとする。
3 予防課長(以下「課長」という。)又は署長は、特段の理由により第1項に定める期限内での火災調査書類の作成が困難と判断した場合は、期限を延長することができる。
4 課長又は署長は、前項により火災調査書類の作成期限を延長した場合は、別記様式によりその旨を消防長に報告しなければならない。
第6 調査書類の作成基準(規程第44条関係)
調査書類の作成基準は、火災の程度及び種別に応じて次の基準により、作成するものとする。
第7 火災原因判定書(規程第27条関係)
火災原因判定書の作成内容は次の各号に定めるものとする。
(1) 火災概要
(2) 出火建物の判定
(3) 出火箇所の判定
(4) 火災原因の判定
2 前項第2号に掲げる出火建物の判定については、焼損建物が複数にわたる場合、記載するものとする。
3 出火原因の決定区分は、次の各号に定めるものとする。
(1) 断定 実況見分調書等の資料を統合すると、全く疑う余地がなく極めて具体的かつ科学的合理性により原因が決定され、推理も必要としないもの。
(2) 判定 実況見分調書等の資料のみでは、具体的かつ科学的合理性を導くことはできず、断定することはできないが、多少の推理を加えることにより、疑う余地を残さないもの。
(3) 推定 実況見分調書等の資料のみでは、その原因を直接判断することができないが、当該資料等を基礎として専門的立場から推測することで、未知の事柄について、見当をつけ加えることにより合理的に原因を推定できるもの。
(4) 不明 実況見分調書等の資料のみでは、原因を決定するに足りる内容が極めて少なく、これに推理、推測を加えても原因を合理的に推定できないもの。
第8 火災原因調書(規程第27条関係)
火災原因調書の作成内容は、次の各号に定めるものとし、内容をより明らかにするための補足資料として、図面及び写真を添付することができる。
(1) 焼損状況
(2) 発見通報状況
(3) 初期消火状況
(4) 原因判定
2 作成上の留意事項は次に定めるものとする。
(1) 焼損状況について
ア 出火箇所の判定及び出火原因の判定に必要な焼損状況を記入する。
イ 文章で表現することに加え、写真及び図面により必要に応じて補足し、事実を明確に解るよう記載しなければならない。ただし、写真はあくまでも第三者に火災現場状況を伝える補足資料であることを念頭におく。
ウ 「出火建物」、「出火室」、「出火箇所」、「発火源」等の用語及び当該用語の意味を持つ表現は使用することはできない。
(2) 発見通報状況について、発見の動機、発見位置(発見の動機となった事象を覚知した位置を含む。)、発見通報時の火災状況(火煙を視認した時点での火災の進展状況)、火災を知った動機、消防機関へ通報するまでの経過、通報後の行動等を記載する。
(3) 初期消火状況について、火災を知った動機、消火時の火災状況、消火効果の有無、消火の方法等について記載する。
(4) 原因判定については、「焼損状況」、「発見通報状況」、「初期消火状況」、「図面、写真、質問調書」等の事実を基に判定し、記載する。
第9 火災出動時における見分調書(規程第20条関係)
火災出動時における見分調書の作成内容は、次の各号に定めるものとし、内容をより明らかにするための補足資料として、図面及び写真を添付することができる。
(1) 出動途上における見分状況 消防隊が火災現場に向かう途中に車内から見た見分状況、火点に近づいた時の状況等を見分したもの。
(2) 現場到着時における見分状況 現場に到着した消防隊が火災の延焼状況、消防用設備等の作動状況、初期消火及び避難状況等を見分したもの。
(3) 消防活動時における見分状況 消火活動開始の時点から鎮火までの間の延焼経路、残火処理に伴う物品移動及び出入口等の開閉状況等を見分したもの。
(4) 死傷者の発見、救出等の見分状況 死者の発見状況及び要救助者の救出状況を見分したもの。
2 作成者は原則として中隊長又は小隊長とする。
3 作成上の留意事項は次に定めるものとする。
(1) 出火建物、箇所及び原因等を究明する際の資料となるものであるため、消防活動に伴う感想や抽象的表現は用いず、客観的かつ現在進行形で記入する。
(2) 「出火建物」、「出火室」、「出火箇所」、「発火源」等の用語及び当該用語の意味を持つ表現は使用することはできない。
第10 実況見分調書(規程第23条関係)
実況見分調書の作成内容は、次の各号に定めるものとし、内容をより明らかにするための補足資料として、図面及び写真を添付することができる。
(1) 現場の位置及び付近の状況
(2) 現場の模様
(3) 焼き状況
2 作成上の留意事項は次に定めるものとする。
(1) 作成者は現場に出向し見分を行った者に限られ、写真や図面等を参考に現場見分を行っていない者が代わって作成することはできない。また、大規模火災等で複数の者が分担して現場見分した場合等は、それぞれの見分者が担当した場所の調書を作成する。
(2) 文章で表現することに加え、写真(実況見分時に撮影したもの)及び図面により必要に応じて補足し、事実を明確に解るよう記載しなければならない。ただし、写真はあくまでも第三者に火災現場状況を伝える補足資料であることを念頭において、決して写真見分にならないように留意する。
(3) 「出火建物」、「出火室」、「出火箇所」、「発火源」等の用語及び当該用語の意味を持つ表現は使用することはできない。
(4) 焼き状況の比較(強弱)を記載する場合は、判断となる状況について記載(炭化、焼け細り、軟化等)しておかなければならない。
(5) 現場の見分は相手方の承諾を得てその立ち会いのもと行うこととし、立会人から得た説明は、見分記述として必ず区分して記載する。また、立会人の説明は必要最小限とし、経験に基づく意見や主観的な説明については、ここで記述するのではなく、質問調書に記録する。
(6) 見分事実は現在進行形で記載し、見分者の抽象的・主観的表現や意図する結論に誘導してはならない。焼損物件を客観的かつありのままに表現する。
実況見分調書及び火災出動時における見分調書に添付する図面及び写真は、原則として次の各号に定めるもののうち調査書類として作成する必要があると認めたものとする。
(1) 添付する図面は、案内図、配置図、平面図、詳細図、復元図、写真撮影位置図、その他必要な図面とする。
ア 案内図
火災現場や現場周辺の地勢及び道路状況を作図する。また、現場の敷地及び焼損建物等並びに水利を図面中に補足する。
イ 建物配置図
(ア) 原則として火元建物を図面の中央とし、り災建物及び物件を全て網羅し各建物の構造、用途、り災建物及び物件の区別、離隔距離等を記入し作図する。
(イ) ブロック塀、板塀等の火災防ぎょ上の障害物を作図する。
(ウ) 寸法、間隔等の記入は算用数字を用い、文字で表したほうが分かりやすい場合は補足を加えるものとする。
ウ 平面図
建物が全焼した場合や部屋が複数焼損した場合などには、この建物平面図を作成することによって、現場の状況を把握する重要性の高い図面となる。したがって、建物の外壁だけが焼損した場合等は、この平面図を作成しなくとも現場の状況を把握できるので作成は不要である。また、図面には開口部、柱等を記入し、測定したものについては、算用数字を用い必ず記入する。
エ 詳細図
出火範囲として特定した部屋、箇所等の限定した部分の図面であり、火源と可燃物等の位置及び出火原因として可能性のある痕跡等の位置を作図する。また、火源の位置を作図し、配置物品、焼け抜け及び焼け止まり等の状態を測定して記入する。
オ 復元図
建物及び物件が焼け崩れて原形を止めていない場合、これらを可能な限り火災発生直前の状態に組み立てた状態を作図する。
カ 写真撮影位置図
写真を撮影した位置方向を記入して作図する。
(2) 図面作成上の留意事項は次に定めるものとする。
ア 図面は実測に基づき正しく縮尺し、図面上に方位及び縮尺を記載すること。ただし、縮尺は原則50単位ごととすること。
イ 距離測定は、原則として柱の中心から他の柱の中心までとし、基準点を統一する。
(3) 写真
ア 添付する写真は必ず実況見分時に撮影した写真とする。
イ 撮影はデジタルカメラ及びスチールカメラにより撮影するものとする。
ウ 撮影したスチールカメラのネガは予防課で保管するものとし、デジタルカメラで撮影したデータについては、年単位で電磁的記録媒体に保存し、予防課に提出するものとする。
エ 写真は写真台紙等に貼付又は印刷し、写真表面に直接ボールペン等で書き込まないこと。
オ デジタルカメラで撮影したものについては、補正を加えてはならない。
第12 関係者等の供述録取(規程第17条関係)
質問調書に内容を録取するときは、供述者の署名を求めるものとし、状況に応じそれぞれ次の例によるものとする。
例(通常の場合)
上記のとおり、録取し読み聞かせたところ、誤りのないことを申し立て署名した。
供述者(氏名) ○○ ○○(署名)
質問者 所属・階級・氏名
以下余白
例(署名を拒否した場合)
上記のとおり、録取し読み聞かせたところ、誤りのないことを申し立てたが署名は拒否した。
質問者 所属・階級・氏名
以下余白
例(少年等に対する質問の場合)
上記のとおり、録取し供述者及び立会者に読み聞かせたところ、誤りのないことを申し立て署名した。
立会者(氏名) 父親○○ ○○(署名)
質問者 所属・階級・氏名
以下余白
例(通訳を介した場合)
上記のとおり、録取し読み聞かせたところ、誤りのないことを申し立て署名した。
供述者(氏名) ○○ ○○(署名)
通訳者(氏名) ○○通訳(株)○○ ○○(署名)
質問者 所属・階級・氏名
以下余白
例(質問した関係者等がその後、所在不明、入院等のため署名が不能となった場合)
上記のとおり、録取したところ、所在不明のため読み聞かせすることが出来なかった。
質問者 所属・階級・氏名
以下余白
例(電話で聴取した場合)
上記のとおり、電話で録取したもの。
質問者 所属・階級・氏名
以下余白
2 作成上の留意事項
(1) 供述内容は強要しないこと。
(2) 任意性を担保するため、録取した内容は供述者に閲覧させるか、読み聞かせその内容に誤りがないことを確認させ、その末尾に被質問者の署名を求める。
(3) 未成年から供述を求める場合は、親権者等の立会いを必要とする。なお、署名は立会人に求めるものとし、署名に併せて供述者との間柄についても自署で記入を求めるものとする。
(4) 通訳人の介助を得て質問を行った場合は、供述者及び通訳者ともに署名を求めるものとする。
(5) 質問を同一人に複数回にわたり行うときは、回数を記載する。
第13 火災損害状況調書(規程第33条関係)
火災損害状況調書を作成した場合は、損害明細書の作成は要しないものとする。
第14 火災損害調査書(規程第34条関係)
火災損害調査書は焼損建物等が複数にわたる場合、作成するものとする。
調査書類の文字の加除及び訂正を行うときは、次の各号によるものとする。
(1) 削除は次の例によるものとする。
※右欄外には「削除1字」と記入するものとする。
(2) 加入は次の例によるものとする。
※右欄外には「加入1字」と記入するものとする。
(3) 訂正は次の例によるものとする。
※右欄外には「訂正1字」と記入するものとする。
第16 り災証明(規程第35条関係)
り災証明交付申請書は、原則として予防課査察調査係が申請内容を確認した後に受理し、り災証明書を交付するものとする。
2 提出先が不明のり災証明交付申請書については、受理しないものとする。
調査書類を作成するうえで、各様式に記載されている項目欄において記入すべき事項が存在しない場合の扱いは、当該項目欄は空欄とする。
調査書類のうち作成した「火災原因判定書」、「実況見分調書」、「火災出動時における見分調書」、「質問調書」及び「現場質問調書」に空白行が存在する場合は、空白行の最上部右端に「以下余白」と記入する。
第19 参考図書の指定
規程に基づく、火災調査書類を作成する上で、記載事項及び記載方法に関して、参考とする基本的な参考図書は次のとおりとする。
(1) 現場の見方・現場調査の進め方(調査No.1)
(2) 火災調査書類の書き方(調査No.2)
(3) 火災損害調査(調査No.3)
(4) 火災報告取扱要領ハンドブック
第20 研修等の実施(規程第15条関係)
課長は、調査員の知識の習得、調査技術の研究及び調査能力の向上のため、必要な研修の実施及び参考資料の配布をしなければならない。
第21 書類の形式
1 文書の形式については、おおむね別記によること。
2 文書の配字等については、次の各号に定めるところとする。
(1) 字種 MS明朝
(2) 文字の大きさ 12ポイント
ただし、表中で12ポイントで収まらない場合は、表中で収まる文字の大きさとする。
附則
この要領は、平成23年3月1日から施行する。
附則(平成24年消防長決裁)
この要領は、平成24年4月1日から施行する。
附則(平成27年消防長決裁)
この要領は、平成27年10月1日から施行する。
附則(令和2年消防長決裁)
この要領は、令和3年1月1日から施行する。
附則(令和3年3月22日消防長決裁)
この要領は、令和3年4月1日から施行する。