傷病者の命を救い社会復帰に導くために必要な一連の行いを「救命の連鎖」といいま
す。
救命の連鎖は4つの輪で成り立っています。
この4つの輪が途切れることなくすばやくつながることで救命効果が高まります。
救命の連鎖の2つ目の輪と3つ目の輪は、救急車を待つのではなく、現場に居合わ
せた皆さんにより行われることが、行わなかったときより生存率が高く、またすばや
いAEDの使用により、生存率や社会復帰率が高いことがわかっています。
1つ目の輪 「心停止の予防」
子どもの突然死の主な原因はけがや溺水などがあります。その多くは日常生活の中で
十分に注意することで予防ができるものです。
心臓や呼吸が止まってしまった場合の救命処置も大事ですが、何よりも突然死を未然
に防ぐことが一番効果的です。
成人の突然死の主な原因は、急性心筋梗塞や脳卒中です。これらは生活習慣病とも呼
ばれており、生活習慣の改善でそのリスクを低下させることも大切な予防の一つです。
また、急性心筋梗塞や脳卒中の初期症状に気付き、少しでも早く救急車を要請するこ
とがとても重要です。
2つ目の輪 「早期認識と通報」
突然倒れた人や、反応のない人をみたら、ただちに心停止を疑うことが大切です。
心停止の可能性があれば大声で応援を呼び119番通報とAEDの手配を依頼して下さい。
3つ目の輪 「一次救命処置」
止まってしまった心臓と呼吸の動きを、心肺蘇生法やAEDの使用によって助けます。
脳は心臓が止まると15秒以内に意識がなくなり、3~4分以上そのままの状態が続く
と回復が困難となります。
心臓が止まっている間、心肺蘇生によって脳や心臓に血液を送り続けることが、心臓の
動きが戻った後に後遺症を残さないために重要です。
命が助かる可能性は時間の経過とともに減っていきますが、その場に居合わせた
「あなた」が心肺蘇生法を行うことで救命のチャンスを高めます
4つ目の輪「二次救命処置と心拍再開後の集中治療」
救急救命士や医師が、薬や器具などを使用して心臓の動きを取り戻すことを目指し、
心臓の動きを取り戻すことができたなら、専門家による集中治療により社会復帰を目指し
ます。
心臓や呼吸が止まった人の治療はまさに1分1秒を争います。心臓や呼吸の動きが止ま
った人の命が助かる可能性は、その後約10分の間に急激に少なくなっていきます。
まず必要なことは「すぐに119番通報」して下さい。119番通報が早ければ早いほ
ど救急隊員による救命処置を早く受けることができます。その後早く病院へ到着すること
もできます。
救急車がくるまでには、全国平均で約8分間かかります。救急車が来るまで手をこまね
いていては、助かる命も助けられないことになります。
そうならないために、現場に居合わせた「市民」みなさんから「救急隊」~「医師」へ
命のバトンを引き継いでください。