○民間による患者等搬送事業に対する指導及び認定に関する要綱
平成25年12月13日
告示第8号
民間による患者等搬送事業に対する指導及び認定に関する要綱(平成19年吉川松伏消防組合告示第1号)の全部を改正する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この要綱は、吉川松伏消防組合消防本部管轄区域内の民間による患者等搬送事業に対して行う指導及び認定について必要な事項を定め、利用者の安全及び利便を確保し、患者等搬送事業の質的向上を図るとともに、一定基準に適合する患者等搬送事業者の認定を行うことにより、患者等の生命及び身体の安全を図ることを目的とする。
(1) 患者等 健常者以外の者並びに車椅子又は寝台を必要とする身体障害者及び寝たきり老人をいう。
(2) 患者等搬送事業 患者等の医療機関への入退院、通院及び転院並びに社会福祉施設への送迎に際し、ベッド等を備えた自動車(以下「患者等搬送用自動車」という。)を使用し、患者等を搬送する業務をいう。
(3) 患者等搬送事業者 患者等搬送事業を行う事業所の経営者又は管理責任者をいう。
(4) 乗務員 患者等搬送用自動車に乗務し、患者等搬送事業に従事する者をいう。
第2章 指導基準
(患者等搬送事業の基本的原則)
第3条 患者等搬送事業者は、患者等からの通報の適正処理及び患者等の搬送技能の向上に努めなければならない。
2 患者等搬送事業者は、緊急性のない者を搬送対象としなければならない。
3 患者等搬送事業者は、事業の社会的責任を十分自覚し、関連法規を遵守しなければならない。
(消防機関との連携)
第4条 患者等搬送事業者は、次の各号のいずれかに該当する場合は、患者等の場所、状態、既往症、掛かり付けの医療機関等を消防機関に通報し、救急自動車を要請しなければならない。
(1) 患者等からの搬送依頼時において、依頼内容、症状の徴取結果から緊急に医療機関へ搬送することが必要であると判断した場合
(2) 患者等の搬送依頼場所に到着後、緊急に医療機関に搬送することが必要であると判断した場合
(3) 患者等の搬送途上において、症状が悪化し、緊急に医療機関に搬送することが必要であると判断した場合
(乗務員の要件)
第5条 ストレッチャー及び車椅子等を固定できる患者等搬送用自動車による患者等搬送事業の乗務員の要件については、満18歳以上の者で、次の各号のいずれかに該当する者をもって充てなければならない。
(1) 別記1に掲げる患者等搬送乗務員基礎講習を修了した者
(2) 別記2に掲げる前号の者と同等以上の知識及び技能を有する者
2 車椅子のみを固定できる患者等搬送用自動車(以下「患者等搬送用自動車(車椅子専用)」という。)による患者等搬送事業の乗務員の要件については、満18歳以上の者で、次の各号のいずれかに該当する者をもって充てなければならない。
(1) 別記1に掲げる患者等搬送乗務員基礎講習(車椅子専用)を修了した者
(2) 別記2に掲げる前号の者と同等以上の知識及び技能を有する者
(適任証等の携行)
第7条 乗務員は、患者等搬送業務に従事するときは、適任証等を携行しなければならない。
(定期講習の受講)
第8条 患者等搬送事業者は、乗務員の応急手当技能を適切に管理するため、適任証等の交付を受けた乗務員に2年に1回以上、別記3に掲げる定期講習を受講させなければならない。
(受講の申請)
第9条 別記1に掲げる基礎講習及び別記3に掲げる定期講習の受講申請は、患者等搬送乗務員(定期)講習受講申請書(様式第3号)により消防長へ申請するものとする。
(適任証等の再交付)
第10条 適任証等を亡失し、焼失し、汚損し、又は破損したときは、適任証等再交付申請書(様式第4号)により消防長に再交付の申請を行うものとする。
(運行体制)
第11条 ストレッチャー及び車椅子等を固定できる患者等搬送用自動車による患者等搬送事業を行う患者等搬送事業者は、患者等搬送用自動車1台につき2名以上の乗務員をもって業務を行なわなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、乗務員を1名とすることができる。
(1) 乗務員以外に医師、看護師等が同乗する場合
(2) 退院の場合
(3) 医師の指示によるあらかじめ日を特定した入院、転院又は通院の場合
(4) 社会福祉施設、保養施設等への送迎の場合
2 患者等搬送用自動車(車椅子専用)による患者等搬送事業を行う患者等搬送事業者は、患者等搬送用自動車(車椅子専用)1台につき1名以上の乗務員をもって業務を行わせなければならない。ただし、搬送中に容態急変の可能性が高い場合については次に掲げるいずれか必要な対応体制を確保すること。
(1) 医師を同乗させること。
(2) 乗務員を2名以上とすること。
(患者等搬送用自動車の要件)
第12条 ストレッチャー及び車椅子等を固定できる患者等搬送用自動車は、次に掲げる構造及び設備を有するものとする。
(1) 十分な緩衝装置を有すること。
(2) 換気及び冷暖房の装置を有するものであること。
(3) 乗務員が業務を実施するために必要なスペースを有するものであること。
(4) ストレッチャー及び車椅子等を使用したまま確実に固定できる構造であること。
(5) 携帯が可能な通信機器等、連絡に必要な設備を有していること。
2 患者等搬送用自動車(車椅子専用)は、次に掲げる構造及び設備を有するものとする。
(1) 十分な緩衝装置を有すること。
(2) 換気及び冷暖房の装置を有するものであること。
(3) 乗務員が業務を実施するために必要なスペースを有するものであること。
(4) 車椅子を使用したまま確実に固定できる構造であること。
(5) 車椅子の乗降を容易にするための装置(スロープ、リフト等)を備えていること。
(6) 携帯が可能な通信機器等、連絡に必要な設備を有していること。
(積載資器材)
第13条 患者等搬送用自動車には、別記4に掲げる資器材を積載するものとする。
(車両の外観)
第14条 患者等搬送用自動車は、サイレン又は赤色灯を装備するなど、救急自動車と紛らわしい外観を呈していないものとする。
(消毒の実施等)
第15条 患者等搬送用自動車及び積載資器材の消毒は、次の各号により行うものとする。
(1) 定期消毒 毎月1回以上
(2) 使用後消毒 毎使用後
(3) 医師から消毒について特別な指示があった場合は、指示に基づく消毒を行うこと。
2 定期消毒を実施したときは、その旨を消毒実施記録表(様式第5号)に記録し、患者等搬送用自動車内の見やすい場所に表示するものとする。
(安全管理及び衛生)
第16条 患者等搬送用自動車及び積載資器材については、点検整備を確実に行い、清潔保持に努めなければならない。
2 乗務員の服装は、患者等搬送業務にふさわしいものとし、清潔の保持に努めるものとする。
3 患者等の搬送に当たっては、患者等及び同乗者に対し、安全ベルト装着等の安全搬送の措置を講じなければならない。
(事業案内)
第17条 パンフレット等の事業案内には、救急隊と同じような活動ができるかのような表現は避けるものとする。
(応急手当)
第18条 患者等搬送事業者は、患者等搬送業務を行うとき、症状の悪化防止に万全の配慮を行うとともに、搬送途上において症状が悪化し、緊急やむを得ない場合は、必要な応急手当を実施しなければならない。
(知識及び技術の維持管理)
第19条 患者等搬送事業者は、乗務員に対し、患者等の安全搬送に関する知識及び技術の向上に努めなければならない。
第3章 認定基準
(認定対象となる患者等搬送事業者)
第20条 認定対象となる患者等搬送事業者は、道路運送法(昭和26年法律第183号。以下「法」という。)に定める次の者とする。
(1) 一般乗用旅客自動車運送事業(法第3条第1号項ハ)の許可を受けた者
(2) 一般貸切旅客自動車運送事業(法第3条第1項号ロ)の許可を受けた者
(3) 特定旅客自動車運送事業(法第3条第2号)の許可を受けた者
(4) 自家用有償旅客運送(法第78条第2号)の登録を受けた者
(認定マーク等の表示)
第24条 患者等搬送用自動車認定マーク及び患者等搬送用自動車(車椅子専用)認定マークは、自動車後面の視認しやすい位置に表示するものとする。
2 「吉川松伏消防組合認定」の表示は任意とし、表示する場合の大きさは縦横50ミリメートル以下とする。
(認定の有効期間)
第25条 認定の有効期間は、認定を受けた日の翌日から起算して5年とする。
(認定の更新)
第26条 ストレッチャー及び車椅子を固定できる患者等搬送用自動車による患者等搬送事業の認定を受けた事業者及び患者等搬送用自動車(車椅子専用)による患者等搬送事業の認定を受けた事業者(以下「認定事業者」という。)は、認定の有効期間の満了後も引き続き認定を受けようとするときは、認定の期間が満了する日の1ヶ月前から満了するまでの間に消防長に更新を申請するものとする。
2 更新時の手続きについては、認定時の手続きを準用するものとする。
(事業内容の変更)
第27条 認定事業者は、事業内容等の変更をしようとするときは、患者等搬送事業内容変更届出書(様式第19号)により消防長へ届出なければならない。
2 消防長は、患者等搬送事業内容変更届出書の記載事項を確認した後、患者等搬送事業者申請受理簿に記入するとともに、患者等搬送事業変更届出書に基づき、変更内容を確認後、患者等搬送事業者認定台帳を整理する。
(認定の失効)
第28条 次の各号のいずれかに該当するときは、認定は、その効力を失うものとする。
(1) 法に定めるところにより、国土交通大臣の許可等が取り消され、又は失効した場合
(2) 患者等搬送事業を廃止した場合
(3) 認定の有効期間が満了した場合
(認定事業者の責務)
第29条 認定事業者は、指導基準を誠実に履行しなければならない。
(1) 患者等を搬送中に容態変化があり、応急処置を実施した場合
(2) 患者等を搬送中に容態変化があり、救急自動車を要請した場合
(3) 患者等を搬送する業務の遂行に支障を及ぼす重大な事故を発生させた場合
(4) 事業に関し、消防長から求めがあった場合
(認定事業者の調査)
第30条 消防長は、年に1回以上認定事業者に対し、指導基準の履行状況等について調査するものとする。
2 消防長は、前項に規定する調査によって不適事項を認めたときは、指導基準に適合するよう指導するものとする。
(認定の取消し)
第31条 消防長は、次の各号のいずれかに該当するときは、認定を取り消すことができる。
(1) 認定事業者が、指導基準を遵守しない場合
(2) 認定事業者が、業務の遂行に当たって、重大な事故を発生させた場合
(3) 社会通念上、認定事業者としてふさわしくない行為又は事故を発生させた場合
(4) 前各号に掲げるもののほか、認定を継続することが、不適当と判断される場合
(1) 認定証
(2) 患者等搬送事業者認定マーク又は患者等搬送事業者(車椅子専用)認定マーク
(3) 患者等搬送自動車認定マーク又は患者等搬送自動車(車椅子専用)認定マーク
2 前項の規定により認定証等を返納する認定事業者で、患者等搬送用自動車に「吉川松伏消防組合認定」の表示があるときは、当該表示を削除しなければならない。
(認定証の再交付)
第34条 認定事業者は、認定証等を亡失し、焼失し、汚損し、又は破損したときは、認定証再交付申請書(様式第22号)により消防長に届出し、認定証等の再交付を受けることができるものとする。
2 消防長は、認定証等の再交付の申請があった場合は、申請書の内容を審査のうえ、認定証等を申請のあった認定事業者に交付するものとする。
附則
この告示は、平成26年1月1日から施行する。
附則(平成30年告示第1号)
この告示は、公布の日から施行する。
附則(令和3年告示第7号)
この要綱は、令和3年4月1日から施行する。
附則(令和3年告示第11号)
この告示は、公布の日から施行する。
別記1(第5条関係)
基礎講習
種別 項目 | 患者等搬送乗務員基礎講習 | 患者等搬送乗務員基礎講習 (車椅子専用) | ||
実施者 | 消防長 | |||
受講回数 | 乗務員になるときに1回以上 | |||
講習内容 | 1 総論 | 1時間 | 1 総論 | 1時間 |
2 観察要領及び応急処置 | 13時間 | 2 観察要領及び応急処置 | 9時間 | |
3 体位管理要領 | 2時間 | 3 体位管理要領 | 1時間 | |
4 消防機関との連携要領 | 2時間 | 4 消防機関との連携要領 | 2時間 | |
5 車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 2時間 | 5 車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 1時間 | |
6 搬送法 | 2時間 | 6 搬送法 | 1時間 | |
7 修了考査 | 2時間 | 7 修了考査 | 1時間 | |
講習時間 | 24時間 | 16時間 | ||
講師 | 講師は、次のいずれかに該当する者とする。 1 救急隊長として3年以上の実務経験を有する者で、消防長が適任と認めた者 2 消防大学校の救急課程の修了者で、消防長が適任と認めた者 3 消防学校の救急科課程の教官として2年以上の経験を有する者で消防長が適任と認めた者 | |||
修了考査実施基準 | 修了考査は次の内容とし、80点以上を以って合格とする。 1 実技(観察要領と応急処置)60点 2 筆記(消防機関との連携要領)20点 (車両資器材の消毒感染防止要領)20点 | |||
その他 | 1 課目の1時間は45分とする。 2 消防長は、必要と認める場合は、講習内容及び講習時間等を変更することができる。 |
別記2(第5条関係)
基礎講習を修了した者と同等以上の知識及び技能を有する者
区分 | 分類 |
1 | 救急救命士の資格を有する者及び消防法施行規則第51条に定める救急業務に関する講習課程を修了した者 |
2 | 日本赤十字社の行う応急処置に関する講習を受けた者で、有効期間内の者。 ただし、吉川松伏消防組合の行う基礎講習に不足する課目については、吉川松伏消防組合の行う講習を受講すること。 |
3 | 上記、1及び2に掲げる者以上の知識及び技能を有すると消防長が認めた者 |
別記3(第8条関係)
定期講習
種別 項目 | 患者等搬送乗務員定期講習 | |
実施者 | 消防長 | |
受講回数 | 2年に1回 | |
講習内容 | 1 観察要領及び応急処置 | 2時間 |
2 体位管理 | 1時間 | |
講習時間 | 3時間 | |
講師 | 講師は、次のいずれかに該当する者とする。 1 救急隊長として3年以上の実務経験を有する者で、消防長が適任と認めた者 2 消防大学校の救急課程の修了者で、消防長が適任と認めた者 3 消防学校の救急科課程の教官として2年以上の経験を有する者で消防長が適任と認めた者 | |
その他 | 1 課目の1時間は45分とする。 2 消防長は、必要と認める場合は、講習内容及び講習時間等を変更することができる。 |
別記4(第13条関係)
患者等搬送用自動車に積載する資器材
1 患者等搬送用自動車に積載する資器材
項目 | 資器材名 |
呼吸管理用資器材 | バッグバルブマスク ポケットマスク |
保温・搬送用資器材 | 敷物 保温用毛布 担架 まくら |
損傷等保護用資器材 | 三角巾 ガーゼ 包帯 タオル ばんそうこう |
消毒用資器材(車両・資器材用) | 噴霧消毒器 各種消毒薬 |
その他の資器材 | はさみ マスク ピンセット 手袋 膿盆汚物入れ 体温計 ※AED |
「※」は任意の積載とする。
2 患者等搬送用自動車(車椅子専用)に積載する資器材
項目 | 資器材名 |
呼吸管理用資器材 | ※バッグバルブマスク ポケットマスク |
保温・搬送用資器材 | ※敷物 保温用毛布 担架 ※まくら |
損傷等保護用資器材 | 三角巾 ガーゼ 包帯 タオル ばんそうこう |
消毒用資器材(車両・資器材用) | 噴霧消毒器 各種消毒薬 |
その他の資器材 | はさみ マスク ※ピンセット 手袋 膿盆汚物入れ 体温計 ※AED |
「※」は任意の積載とする。