平成25年中に救急車で病院へ搬送された人員は、3,719人でした。
その中で多く搬送されたのは、高齢者で全体の42%でした。(下図参照)
高齢者では、加齢に伴い様々な身体的能力が変化します(心肺機能の低下、
筋力の低下、視力・聴力の低下、嚥下機能の低下など)。日常生活の中でケガや
事故は、生活に大きな影響を及ぼすこともあります。そんなケガをどのように
予防すればいいか考えてみましょう。
平成25年中の年齢別搬送人員
1)家庭での事故
家庭内では、いたるところに事故の原因があります。ですが、十分に注意
することで未然に防止することができます。
部屋はきれいにしていますか?
部屋にものが騒然と置いてあったり、汚くしているとつまずき転倒した
り、ものに身体をぶつけ、ケガをします。部屋をいつも片づけておくこ
とによって、ケガを予防することができます。
ちょっとした段差はありませんか?
ちょっとした段差でも、足を引っ掛け転倒しケガをすることがあります。
慎重に歩くことや、段差をなくすことで予防することができます。
階段に手すりはついていますか?
階段に手すりをつけることで、安定性がまします。また、階段につまず
いたとしても手すりにつかまることによって転落を予防することがで
きます。
※特に高齢者の転倒では、骨折することにより寝たきりの生活になってしまう
こともあるので十分注意しましょう。
2)お風呂場での事故
11月~3月、冬の寒い時期にお風呂場での高齢者の死亡事故が多くなり
ます。
熱いお湯に長湯はしていませんか?
お湯が熱いほど体温は早く上昇します。42度のお湯に10分つかると
体温は38℃付近まで上昇します。41℃以下のお湯に10分以内で入
浴するようにしましょう。
浴室と脱衣所に温度差はありませんか?
浴室と脱衣所の温度差により心臓に大きな負担がかかります。脱衣所を
温め温度差をなくしましょう。
声をかけてから入浴していますか?
誰にも知らせずに入浴すことで入浴中に、もし意識を消失してしまった
りすると気づかれずにそのままになってしまいます。誰かに声をかけて
から入浴しましょう。また、一緒にお住まいの方は、時々声をかけてあ
げましょう。
※もし声をかけても応答がなかったら何かあったのかもしれません。すぐに
確認しましょう。確認をして、浴槽内でおぼれていたらすぐに浴槽内の水を抜
くか、浴槽内からだし救急車を呼びましょう。
3)窒息による事故
お正月になると毎年のようにおもちをのどに詰まらせてしまったと言うニュ
ースを耳にします。おもちに限らず鶏肉やサンドイッチなどを口や喉に詰まら
せる事故もあります。
よく噛んでから食べていますか?
よく噛まずに飲み込んでしまうと食べ物を口や喉に詰まらせてしまう可
能性が高くなります。よく噛んでから飲み込みましょう。また、初めか
ら小さく切っておくことも必要です。
お茶など水分を取りながら食事をしていますか?
口や喉が渇いていたりすると、食事が口や喉を通りにくくなります。水
分を取ることで詰まらせることを予防することができます。
※口や喉に食べ物を詰まらせている人を見かけたら次のことを行ってください。
① 119番通報を誰かに依頼し、自分で咳ができるようであれば、できるだ
け咳を続けさせてください。
② 咳ができないようであれば、腹部突き上げ法または、
ください。
背部叩打法
手の付け根で肩甲骨の間を力強く、何度も繰り返したたきます。
腹部突き上げ法
後ろから抱えるように腕をまわします。
片手で握りこぶしを作り、その親指側を相手のへそより上で、みぞおちの
十分下方に当てます。
その手をもう一方の手で包み込むように握り、すばやく手前上方に向かっ
て、圧迫するように突き上げます。
※妊婦や乳児に対して腹部突き上げ法は行ってはいけません。